大学院生の声
student voice

大学院生の声

我が青春の
久留米大学病理学講座

赤司 桃子

早いもので、久留米大学医学部病理学講座の大学院を修了してから、もう6年が経ちました。今回は、私の大学院生活を少し振り返ってみたいと思います。

私は金沢医科大学の出身で、初期臨床研修から外科レジデントまでを国立病院機構九州医療センターで過ごしました。その間、短期間ではありますが病理診断科をローテートする機会があり、「外科医として、もっと病理を深く学びたい」と思ったことが、久留米大学病理学講座の門を叩いたきっかけです。

お揃いの白衣を大学院生たちの集合写真
お揃いの白衣を作成!

大学院では、乳腺病理の研究に加え、一般外科病理としてほぼすべての臓器の切り出しから診断まで経験させていただきました。外科医として臨床に携わるうえで、これほど貴重な時間はなかったと感じています。研究面でも、発表スライドの作り方や論文検索の方法など、基礎的なところから丁寧にご指導いただきました。定期的なカンファレンスでは、スタッフの先生方から多くのアドバイスをいただき、研究を前に進める大きな支えになりました。

正直に言うと、病理学講座の大学院生はとても忙しいです。日々のルーチン業務をこなしながら外勤にも出て、さらに研究も進める――決して楽な毎日ではありませんでした。それでも、さまざまな診療科から集まった大学院生同士で、それぞれの専門を活かしながら支え合うことができました。診断に迷ったときには誰かに相談し、研究が行き詰まったときにはまた別の誰かに助けてもらう。そんな仲間がいたからこそ、無事に学位を取得することができたのだと思います。

医局旅行@釜山

もちろん、仕事や研究だけでなく、息抜きの時間も大切にしていました。年に一度の医局旅行は、今でも心に残る楽しい思い出です。ときには(しょっちゅう?)片町に繰り出して、肩を組みながら歌った夜もありました。こうしたオンとオフの切り替えがあったからこそ、また明日から頑張ろうと思えたのだと思います。

臨床に戻った今、大学院での4年間は、医師としての物の見方を大きく広げてくれた時間だったと実感しています。研究に没頭し、一つのことをやり遂げた経験は、これからの長い医師人生において、きっと大きな財産になっていくはずです。
振り返ってみると、大学院時代はまさに私の「医師人生の青春」でした。

教授より卒業証書授与(風)

支え合う環境で過ごした、
充実の大学院生活

川口 文

私は、久留米大学皮膚科に入局し、大学病院や関連病院で皮膚科学を学んだ後、病理学講座で大学院生活を過ごしました。

病理学講座を専攻した理由は、今までの臨床経験の中で、診断を確定する上で、病理学の重要性と皮膚科領域との密接な関連を感じたからです。また、大学時代や研修医時代にお世話になった先輩方に病理学講座での大学院生活を勧められたことも、志すきっかけになりました。

病理学講座の集合写真

4年間の在学中は、研究や標本切出し、病理診断など忙しい日々でしたが、病理学講座の雰囲気はとても良く、先生方に気軽に相談に乗っていただきました。また、産休・育休期間がありましたが、色々と配慮していただき、とても充実した大学院生活を送ることができました。他にも、飲み会・医局旅行など、本当に楽しい思い出ばかりで、ここに書ききれないくらいです。

現在は、大学院で学んだことを臨床に活かしていけるよう、診療に取り組んでいますが、大学院生活があったからこそ今の自分があり、病理学講座で過ごした4年間は、大切な宝物です。

将来、大学院入学を考えている方は、是非一度、病理学講座へいらしてください。

病理系大学院進学のススメ

三橋 敏順

はじめに

私は本学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座から出向する形で、2021年度に博士課程(病理系病理学)へ入学しました。大学院4年間のうち、最初の1年間は臨床に身を置きながら単位取得を行い、残りの3年間は病理学講座へフルタイムで出向させていただくという、非常に恵まれた環境で博士論文に取り組むことができました。2025年度からは臨床の現場に戻っておりますが、今振り返っても、病理学講座への出向は大正解だったと確信しています。

臨床を別の角度から眺める贅沢

医療に携わる者が病理系大学院に進む最大のメリットは、臨床の現場と深く関わり続けながらも、あえて一歩距離を置き、異なる視点から疾患を捉え直せる点にあります。

Ars longa, vita brevis (医術は長く、人生は短し)。 この箴言が示す通り、修練に膨大な時間を要する医療の世界において、数年間現場を離れることに不安を感じる方も多いかもしれません。しかし、顕微鏡を通して組織の深淵に触れる経験は、限られた人生の中で疾患の本質に迫るための確かな糧となります。それは再び臨床に戻った際、診断の裏付けや病態への深い理解として、必ず自分を助けてくれるはずです。

医療人としての誇りを持ちながら進める研究生活

病理学講座での大学院生活は、単に実験室でデータのみを追う毎日ではありません。日々の病理診断 (切り出しや鏡検) のサポートを日課として行いながら、並行して博士論文を進めていきます。研究に没頭しつつも、常に患者さんの検体と向き合い、診断の一端を担うという点は、医療人としてのアイデンティティを保つ大きな支柱となります。

この日課があることは、大きな安心感に繋がります。研究が思うように進まない時期でも、診断業務を通じて「今日も医療に貢献している」という実感が得られるのは、病理系大学院ならではの特権ではないでしょうか。この心のゆとりが、結果として研究への集中力も高めてくれます。

Diegoで開催された AACR Annual Meeting 2024
博士論文の概要はSan Diegoで開催された AACR Annual Meeting 2024(American Association for Cancer Research)で発表しました。
矢野博久教授 (当時) との「三橋先生、アメリカ行きたい?」 「行きます!」 という (宇宙一) シンプルな交渉によって実現しました。

豊富な症例数と、自由な研究テーマ

「研究が進まなかったらどうしよう」という心配は無用です。久留米大学には膨大な症例の蓄積があり、そして何より、行き詰まった時に道を示してくださる先輩方の深く、確かな知恵があります。

当講座は肝臓病理などの分野で世界的にも有名ですが、研究テーマの選択は驚くほど自由です。私は耳鼻科の領域に紐付いた甲状腺腫瘍をテーマに選び、入学後に内容を大きく変更した時期もありました。当時は果たして間に合うのかと焦りましたが、毎日顕微鏡に向き合えば、自ずと道は開けます。他分野の専門家と議論を重ねながら、新しいチャレンジを形にできる懐の深さは、本学病理学講座の大きな魅力です。

「宇宙一」平和な医局で、充実したワーク・ライフ・バランスを

そして、特筆すべきは講座 (医局) の雰囲気です。ここはおそらく「宇宙一平和な医局」であり、皆がニコニコと協力し合いながら仕事や研究をしています。難解な症例に立ち向かう柔軟な発想は、こうした心理的な余裕の中から生まれるものだと思います。

ワーク・ライフ・バランスも非常に充実しています。睡眠時間を十分に確保できるのはもちろん、私生活も大切にできます。私自身、在学中に娘が誕生しましたが、先生方にサポートをいただき、出産に立ち会うこともできました。自分や家族との時間を大切にしながら、学問に没頭できる理想的な環境がここにはあります。

Diegoで開催された AACR Annual Meeting 2024

おわりに

臨床から病理の世界へ飛び込むのは、少し勇気がいることかもしれません。しかし、久留米大学病理学講座には豊富な症例、確かな技術、そして宇宙一平和な環境が揃っています。ぜひ、顕微鏡の先にある新しい世界を覗いてみてください。