留学
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イェール大学留学記

近藤 礼一郎

はじめに

アメリカ北東部のコネチカット州ニューヘイブンにありますYale(イェール)大学に、2年間(2019年4月から2021年3月)の留学をしました。私は佐賀の田舎で育ち、学生時代は部活に明け暮れ、大学を卒業するまで旅行でも海外に行ったことはありませんでした。また、英語・英会話が大の苦手で、おまけに人見知りです。そんな私が、どのような経緯で海外留学をすることになったのか、異国の地でどのような経験をして、帰国した今、何を思うのかを書きたいと思います。

留学までの経緯

私は平成16年に久留米大学を卒業し、市中病院で初期臨床研修そして消化器内科の修練を行い、医師になって7年目の平成22年に大学院への進学と合わせて久留米大学 病理学講座に入局しました。入局当時は海外への挑戦は全く頭にありませんでした。分岐点となったのは、大学院2年生の時に当時の教授であった矢野先生、鹿毛先生と一緒にアメリカ肝臓学会のThe Liver Meeting 2011に参加したことです。英語での抄録作成は初めてでしたので、抄録が出来た、演題の投稿が出来た、registrationが出来たなど、全てが新鮮な経験でした。そして、The Liver Meetingに演題が採択された時は、大袈裟ですが世界に認められたような気がして、とても自信になりました。また、学会出張では学会会場そして会場外での体験が凄く刺激的で、帰国の際には、「挑戦して良かった」「頑張ってまた挑戦しよう」という気持ちになりました。そして、また研究を行い、このような経験を重ねるに従って、世界のフロンティアにある施設で自分も研究してみたいと思うようになりました。幸いにも学会活動を通じて、私は関心を持っている研究分野のトップランナーである岩切 泰子 先生と面識を持つことができたので、イェール大学にある岩切ラボに留学することが出来ました。

イェール大学オールドキャンパスにて
イェール大学オールドキャンパスにて

ラボでの研究

Principal Investigatorの岩切先生は、血管生理学的見地から肝臓病の研究をされており、特に血管/循環障害の要素が強い門脈圧亢進症に関する基礎研究の第一人者です。NIHグラント(R01)も複数獲得されていて、私は類洞内皮細胞とリンパ管内皮細胞に関するテーマをいただき、内皮細胞を用いた基礎研究や病理標本を用いた組織学的な研究を行いました。留学期間中にCOVID-19のパンデミックがあり、研究がストップしたりなどのトラブルもありましたが、ラボのメンバーにも恵まれチームとして複数のプロジェクトを完遂することができ、幸いにも大きく論文業績を挙げることが出来ました。

ラボメンバーの集合写真
ラボメンバーの集合写真
(左から1人目が岩切先生、左から3人目が私)

アメリカでの生活

私は医師15年目(39歳)で、妻と二人の娘(小学1年生、幼稚園生)と一緒に渡米しました。ニューヘイブンは、ニューヨークから車で2時間弱、ボストンからも2時間程度の位置にあります。ニューイングランド地方に属しており、春・夏は穏やかな天候で過ごしやすく、秋にはこの地方特有の美しい紅葉を楽しむことができます。冬の寒さはとても厳しく気温が-20℃になることもありますが、九州育ちの私にとっては、一面の銀世界や樹氷などの冬景色は綺麗で感動しました。
私はハムデンという町に住んでいたのですが、ニューヨークやボストンのような大都会ではありませんので、のんびりとしていて家族も穏やかに過ごすことが出来ました。住居やライフラインの確保、車の購入、子ども達の小学校への入学手続き、運転免許の取得など生活のセットアップは、なかなか大変でしたが、幸い家族みな健康で、怪我や事故も無く、アメリカでの生活を送ることが出来ました。

クリスマスの家族写真
クリスマスの家族写真
近所の中学校のグランドでソリ遊び
近所の中学校のグランドでソリ遊び

少し足を伸ばせば、ワシントンやモントリオール、ナイアガラの滝などにも車で行けます。
また、現地にいるからこそ、バーモントやニューポートなど一般的な海外旅行では行けないような場所への旅行にも行けます。

バーモントへの家族旅行
バーモントへの家族旅行
ニューポートへの家族旅行
ニューポートへの家族旅行
ナイアガラの滝への家族旅行
ナイアガラの滝への家族旅行
ニューヨークヤンキースの野球観戦
ニューヨークヤンキースの野球観戦

帰国した今、思うこと

良い思い出もあれば、日本で40年暮らしていて経験しなかったようなトラブルに遭遇することもしばしばありました。拙い英語でこのようなトラブルに対応するのは本当にストレスでしたが、一つ一つ家族みんなで解決していったことを含めて、家族でかけがえの無い貴重な時間を過ごすことが出来たと感じています。家族での大冒険のようでした。日本にいれば、そんな苦労しないし、日本でも家族と楽しく過ごせます。研究だって日本でも業績を積むことが出来ます。わざわざリスクを負って、海外留学に行く必要があるのか、と考える方もいると思います。

ただ、海外で生活して直接経験することで、考えること、感じることがあります。そして、そこでしか出会えなかった人がいます。それは、自分自身もそうですし、一緒に過ごした家族もそうです。何を考え、何を感じたか、誰と出会ったかは、人それぞれだと思いますが、海外で生活しないと考えなかったこと、感じなかったことが必ずあり、出会えなかった人が間違いなくいます。そして、それは私にとって、とても大きな経験でした。
私は、皆さんに海外留学へ行くことを勧めます。久留米大学 病理学講座には、そのチャンスがありますので、ぜひ、チャンスを掴みに来てください!

帰国後に岩切ラボの元メンバーとの交流写真
帰国後も岩切ラボの元メンバーで交流が続いています!